津田寛治 父の死を見届けた医師の涙…医師役で中2の頃を振り返る (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田寛治 父の死を見届けた医師の涙…医師役で中2の頃を振り返る

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中村千晶週刊朝日
津田寛治(つだ・かんじ)/1965年、福井県生まれ。高校を中退し、俳優を目指して上京。演劇集団「円」研究所を経て、93年に「ソナチネ」(北野武監督)で映画デビュー。数多くの映画、ドラマで活躍している。(撮影/植田真紗美)

津田寛治(つだ・かんじ)/1965年、福井県生まれ。高校を中退し、俳優を目指して上京。演劇集団「円」研究所を経て、93年に「ソナチネ」(北野武監督)で映画デビュー。数多くの映画、ドラマで活躍している。(撮影/植田真紗美)

(c)2019映画『山中静夫氏の尊厳死』製作委員会

(c)2019映画『山中静夫氏の尊厳死』製作委員会

週刊朝日2020年2月7日号より

週刊朝日2020年2月7日号より

 映画「山中静夫氏の尊厳死」で、末期がん患者と向き合う医師を演じる津田寛治さん(54)。重いテーマながらあたたかみのある作品との出会いは、自身を振り返るきっかけになった、と話します。

【映画「山中静夫氏の尊厳死」の場面写真はこちら】

*  *  *
「血がザワザワッとしました。これはいつもの仕事と違うな、と感じて」

 と、津田さんは語りだした。医師で芥川賞作家として知られる南木佳士(なぎけいし)さんの同名小説の映画化。津田さん演じる今井は信州の病院に勤め、多くの命を看取(みと)ってきた医師だ。そこに肺がんを患い余命宣告を受けた山中静夫(中村梅雀)がやってくる。

「脚本を読んだとき、山中さんがすごくかわいらしい人に思えたんです。余命1カ月の患者さんに出会っても、医師にとってはそこからがその人との関係の始まりであり、それはその人との人生の始まりなのかもしれない。そのことに気づいて、ハッとしました」

 山中は「生まれ育った信州で死にたい」と願い、外出許可を取り、両親と兄の墓のそばに自分の墓をつくりはじめる。だが、次第に病魔に侵され、外出もままならなくなる。「楽にしてほしい」と言う山中を前に今井は、患者の意思を尊重し延命治療を行わない「尊厳死」という問題に向き合うことになる。

「今井は山中との関係性のなかで、彼の望みを感じ取ったのだと思うんです。多くの人を看取ってきたからこそわかる部分もある、と思う」

 と今井の心中に思いをはせる。そのうえで、

「意思疎通も難しいような状態で、患者さんの意思をどう読み取るのか。尊厳死の線引きは本当に難しいと思います。『楽にして』には『痛みをとってほしい』という意味もあるのではないでしょうか」

 演じながら多くを考えた。

「医師にとって死は日常です。だからといって、人が死ぬことに慣れていくことはない、と思うんです。それは僕自身が父や母を亡くした経験のなかで感じたことでもあります」

 津田さんは中2で父を亡くした。胃がんだった。


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