坂上さんは、こうした危機的な状況を広く知ってもらいたいと、関係者の理解を得て展示にこぎつけた。

「ミイラというと、かもしれません。しかし、どのミイラにも、死者の姿を残したい、という生きる者の願いが詰められている。思いの結晶であり、人間が生きた歴史の証しがミイラだと、わたしは思っています」(坂上さん)

 会場にいた20代前半の女の子連れに、ミイラ展の感想を聞くと、少し照れたように口を開いた。

「会場に来たときは正直、怖かった。でも、展示を見るうちに、いまの私たちと同じように家族が好きっていう気持ちをもっているんだなと思った」

 いまも女性たちがミイラにひかれるのは、数千年を経ても変わることのない、人間模様を感じとっているからかもしれない。(本誌・永井貴子)

※週刊朝日オンライン限定記事

【開催概要】
特別展 ミイラ「永遠の命」を求めて
2月24日(月・休)まで国立科学博物館(東京・上野公園)で
※2月17日(月)は開館