「多剤服用」でうつや認知症の副作用も…それでも減薬が難しいワケ (1/5) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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「多剤服用」でうつや認知症の副作用も…それでも減薬が難しいワケ

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鈴木裕也週刊朝日
適正に服用すれば効く薬でも、飲みすぎると危険な場合がある (※写真はイメージ) (c)朝日新聞社

適正に服用すれば効く薬でも、飲みすぎると危険な場合がある (※写真はイメージ) (c)朝日新聞社

同一の薬局で1ヶ月に調剤された薬剤種類数 (週刊朝日2020年1月24号より)

同一の薬局で1ヶ月に調剤された薬剤種類数 (週刊朝日2020年1月24号より)

高齢者で特に慎重な投与を要する薬物 (週刊朝日2020年1月24号より)

高齢者で特に慎重な投与を要する薬物 (週刊朝日2020年1月24号より)

 症状を改善するために飲んでいるはずの薬も、量や種類が多すぎると副作用の危険が高まる。代謝機能が衰える高齢者ではなおさらだ。多剤服用が原因で認知症のような症状を示す場合もある。薬を減らして症状が改善したケースを取材した。身に覚えのある方は、医師に相談してみよう。

【高齢者で特に慎重な投与を要する薬物はコチラ】

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「もうほとんど寝たきりで記憶もあんまりないような状態でした。一度ならず、死にたいと思ったこともありました」

 と言うのは、東京都世田谷区に住む80歳の女性。10年前くらいからうつ症状があり、心療内科で診察してもらい投薬治療を続けていた。症状が改善しないので病院を渡り歩くうちに、飲む薬が増えていき、抗不安薬、抗うつ剤、睡眠薬、降圧剤など10種類以上の薬を飲むようになっていた。

「飲むだけでも大変な量の薬を飲んでいましたが、飲まないのは不安なので飲み続けていました。でも具合はどんどん悪くなっていく。また別のお医者さんに行って相談しても、もう出す薬がありませんって言われるほどでした」

 立ち上がるとふらつくことが増えてきたのは3年前。ある夜、トイレの前で倒れているところを夫に発見される。「倒れて体をぶつけてあざだらけでした。顔なんてお岩さんみたいになっていた」と夫は当時を振り返る。このあとほぼ寝たきりの状態になってしまう。ついには味覚や嗅覚も失い、何を食べても砂を噛んでいるようだったという。衰弱も進み、家には夫婦しかいないのに「誰かいる」と口にすることもあった。「要介護4」と認定された。

 ある日、誤嚥性肺炎で入院。咳止めや痰を切る薬も加わった。退院時に、地元で訪問診療を行う医師を紹介された。ふくろうクリニック等々力の橋本昌也医師だ。高齢者の医療に詳しい橋本医師の指導で、飲みすぎている薬を減らしてみることにした。

 少しずつ減薬し、最大で11種類飲んでいた薬を4種類にまで減らすと、みるみる症状が改善してきた。女性は「目の前が晴れていくような感じ。味覚も戻り、歩けるようになり、今では要介護度も1になりました。この前は夫と北陸旅行に行ったんですよ。死にたいと思っていたほどだったのに、こんなに元気になるなんて思ってもいませんでした」と笑う。

 最新の研究では、高齢者は服用する薬の種類が増えるほど体に異常が起こりやすくなることがわかっている。特に多くみられる症状は、ふらつき・転倒、物忘れ、うつやせん妄、食欲低下など。6種類以上の薬を服用する「多剤服用」の場合、そのリスクが高まることもわかっている。この女性の症状も多剤服用によるものだと、診察した橋本医師は考えたのだ。


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