Aさんは本誌にこう証言し、スマートフォンで銀行の取引履歴を見せてくれた。そこには<20190731 43000円 ジユウミンシュトウヒロシマケンサンギインセンキョクダイナナシブ>と記されていた。

 自民党広島県参議院選挙区第7支部は案里議員が支部長を務めている。

「口座番号は選挙期間中に聞かれたのでメモして渡したように記憶しています。最初から報酬を約束されていましたから」(Aさん)

 また、案里議員の選挙を手伝っていたBさんも報酬を打診されたという。

「案里議員の選対責任者から、30万円でと言われた。断ると50万円でどうかと言われた。内容からして、公選法に引っかかるかもと辞退した。私以外にも、複数の人が報酬をもらっていると聞いた」(Bさん)

 すでに、数十万円の報酬を受け取った運動員が地元紙で報じられている。

「ウグイス嬢への法定で決められた金額以上の日当を払っていたという疑いや、公職選挙法で認められていない運動員に報酬を支払った容疑も浮上している。運動員への報酬は支払いがあるだけでアウトだ。そちらも捜査を進めている」(捜査関係者)

 Aさんはこう言う。

「公選法で受け取ることができない金とは知らなかった。取材を受けて認識しました。何か対応を考えたいと思っています」

 案里議員の事務所は取材に対し、こう回答した。

「刑事事件の進捗や捜査への支障の有無などを勘案し、適切な時期に皆様に説明致したい」

(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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