で、やたらイケメンたちが密着したり、キスしたりするのを「ささ、どうぞご覧ください!」て胸張られてる気配がするが、シーズン1が熱く支持された理由は、きっとそこじゃない。

 王道のラブストーリーを実力派の俳優陣が真剣に演じたら、おっさんだろうがなんだろうが普遍的な恋のせつなさにグッと来た前作。それはやさしさゆえに流されてばかりいたポンコツ男が恋を自覚し、ワンアップする物語でもあった。

 でも今回はその過程が見えぬままに、コント「お父さんと娘から告白された」「卓球で告白大会」「先輩(男)からお試しで1週間つき合おうと誘われる」を連続で見せられている感じ。

 雨の中でのハグや「俺じゃだめか」なキスだって、そこに至るアレコレがなきゃ、せつなさも3割引き。春田愛を貫く武蔵は、なぜか幽体離脱したり、ちっちゃいおじさんになって鍋の横にたたずんだり、突然沖縄弁で「告白サー、好きってことサー」と叫んだり。

 え? 前作からふくらませるのそこ? そうじゃないんだ、そこじゃないんだ。もうどうせなら、ディスパッチャー役の正名僕蔵と吉田鋼太郎が結ばれるくらいのインパクトがほしい。

週刊朝日  2019年12月20日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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