(1)夫も妻も老齢基礎年金は満額が受給できるものとする。


(2)遺族基礎年金の支給対象になる子どもはいないものとする。
(3)「会社員」「専業主婦」は過去および将来においてもそれぞれ会社員、専業主婦であり、これらの間の移動はないものとする。また、在職による老齢厚生年金の支給停止は考慮しない。
(4)年金額は2019年度価額。
(5)経過的加算額は考慮しない。また、夫と妻の再評価率の違いは考慮しない(老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分の金額とし、単純に報酬比例部分の金額の4分の3を遺族厚生年金の金額とする)。
(6)夫の厚生年金保険の被保険者期間は25年以上あり、夫死亡時に妻は遺族厚生年金の受給権を得るものとする。
(7)妻は夫の加給年金の支給対象であるものとする。

「基本額」というのは支給額の本体部分という意味だ。今回は、老齢厚生年金の基本額を標準的金額である120万円と仮定した。

 妻の年齢が80歳なので、国民年金の加入が任意だった期間があるが、この期間も加入という前提で試算した。

 この夫婦はすでに老齢基礎年金をもらっているので、78万100円(一定額)×2に、夫の老齢厚生年金の120万円と妻に加算される「振替加算」(現在80歳の人は14万6599円)を加えた290万6799円が現在の年金総額だ。

 夫が死んだら、妻の老齢基礎年金は変わらず、夫の老齢厚生年金額の4分の3の90万円が遺族厚生年金となる。それに「経過的寡婦加算」(現在80歳の人は31万8224円)がつき、合計で214万4923円となる。

 妻が死んだ場合は、夫の老齢基礎年金と老齢厚生年金だけになり、198万100円だ。

「振替加算」や「経過的寡婦加算」とは何か。

 前者は、昭和41年4月1日、後者は、昭和31年4月1日までに生まれた妻に加算される年金(現在の年齢により一定額)のことだ。

「振替加算」とは、夫が一定期間以上、厚生年金に加入していた65歳以上の妻に与えられる加算金。

「経過的寡婦加算」とは、遺族厚生年金を受給している65歳以上の妻への加算金だ。

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