逃走した大植良太郎被告(大阪地検提供)
逃走した大植良太郎被告(大阪地検提供)

 大阪地検が車で護送中に逃走した大植良太郎被告(42)=覚醒剤取締法違反罪などで起訴=の身柄を大阪府警が11日午後、大阪市内で確保した。

 東大阪市で護送中だった9日、「手錠が痛い」と大阪地検の係官に告げ、片方の手錠を外した直後に暴れまわり、車外に逃げだした大植被告。腰縄と手錠をしたまま、2日以上、逃走し続けた。発見されては、カーチェイスの末に逃走を繰り返したという。

 逮捕のきっかけは大阪府警がマークした大植被告の知人、荻野候昇容疑者=犯人蔵匿容疑で逮捕=の存在が浮上したこと。東大阪市の逃走現場から10kmほどの大阪市内に潜伏している可能性があると見て、府警の捜査員たちが張り込んでいたところ、10日にコインパーキング近くにいた荻野容疑者の姿を発見。車は大植被告が運転していたという。

 車を追って緊急配備をかけたところ、大植被告が運転しているとみられる白い乗用車を発見。大植被告と府警のカーチェイスがはじまった。大植被告が阪神高速道路を走行。大阪府警の捜査車両が追尾する。

「大植被告はものすごいスピードで逃げた。130kmは出ていたようだ。追尾しては見失うという連続。刑事ドラマのような逃走劇だった。梅田の出口付近で大植被告は捜査車両を振り切って、逃げてしまった」(捜査関係者)

 かなりの捜査員を投入して、梅田周辺を捜索したところ、大阪市北区のコインパーキングで再度、車を発見。

 車を乗り捨て、周囲に潜んでいるのではないかと、付近の捜索がはじまった。そして11日午後2時に逮捕された。その様子について前出の捜査関係者がこう語る。

「淀川の十三大橋で、帽子、サングラス姿の男を発見。一度、やりすごしたが、後戻りしてみると背格好も似ていた。機捜隊が『大植か』と声をかけると『そうです、もう疲れました』とあっさり認めた。すぐにパトカーを呼び、身柄を確保した。もともと、淀川周辺で大植被告の目撃情報が寄せられており、重点的に捜査員を投入していた」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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開き直る大阪地検