QUOカードPayを受け取ってURLを開くと、使える金額が表示される(クオカード社提供)
QUOカードPayを受け取ってURLを開くと、使える金額が表示される(クオカード社提供)

 ギフトカードとして知られる「クオカード」。発行元のクオカード社は30年近くプリペイド式カードで商いをしてきたが、3月、これに“デジタル版”が加わった。カンタンベンリだけれど、注意が必要な面もある。

 その名も「QUOカードPay」。メールやSNSなどでURLを受け取り、店頭で開いてバーコードを読み取れば決済に使える。サインや暗証番号入力はいらない。

 専用アプリをダウンロードしておけば、複数のQUOカードPayを持っているとき、それぞれの残高を合算することもできる。50円~10万円の範囲内で1円刻みで発行できる。購入は合計3000円から。

 利用開始当初は合計1万円からとしていたが、ユーザーにとってハードルが高いと判断し、1カ月ほどで額面を下げた。有効期限があり、購入時の支払い方法は銀行振り込みだけだ。

 従来のクオカードは法人利用が8割で、キャンペーンの販促品や懸賞の賞品、株主優待などに利用されてきた。有効期限はない。発行額は右肩上がりを続けており、昨年度は過去最高の700億円にのぼる。

 「贈り先が多いと配送に手間もコストもかかる」という声がかねて多数あがっており、この解消を目指したのがQUOカードPay誕生のきっかけだという。

 キャッシュレスの仕組みに詳しい消費生活ジャーナリストの岩田昭男さんは、「法人のマーケティングツールの一つとして、『Pay』の活用が進めば、爆発的に広まる可能性もある」とみる。

 普及への課題は利用店舗数だ。従来のクオカードはコンビニ大手3社(ローソン、ファミリーマート、セブンイレブン)を含む約57,000店で使えるのに対し、Payは現在約16,000店とクオカードの3割未満。コンビニで使えるのはローソン、ローソンストア100、ナチュラルローソンのみで、ほかはドラッグストア、カフェ、書店など。

 前出の岩田さんも「まだ使える店舗が少ない。まずは利用店舗の拡大を」と指摘する。

「Payもローソン系以外で使えるようにしてほしい、という声が一番多いです。そのほか、クオカードが使えない居酒屋やファミレスなどの飲食店、小売店といった身近な店舗での導入を求める声が多いです」(クオカード社の担当者)

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クオカードと「QUOカードPay」は別物