余裕がなかったです、自分に。帯同キャディーがいれば、すぐに数字を出してくれるじゃないですか。全部自分で考えることの大変さを改めて痛感しました。8月に参戦した地方トーナメントのときは、もっとダメ元でいってたんで、そこまでセンシティブに考えなかったんですけど、シニアだと「頑張らなくちゃ」って強く思いすぎて、余計に空回りしましたね。

 50歳になって思うのは、やっぱり試合は甘くないし、自分がどこに向かっていくのかをもう一回見つめ直さないといけないトシなんだなということです。

 久しぶりにこうして復活して、亡くなった父の言葉を思い出しますね。最初に「ゴルフをやりたい」って言ったときに、「ゴルフは感覚を大事にするスポーツだから、1日休むと感覚を戻すのに3日かかる。1週間休めば3週間かかるし、1カ月休めば3カ月かかるんだよ」って。その言葉の重さを改めて感じました。

 ずっと続けてゴルフをやってこられなかったツケが、いざ頑張りたいと思う試合にこうやって出てくるんですね。父のあの言葉が、また心に響きました。

週刊朝日  2019年10月4日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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