日本の男子ツアーを引っ張る存在になってきましたけど、ポテンシャルとかスター性はもともと誰よりも持ってましたからね。カッコつけて勝とうとするんじゃなくて、泥臭くてもいいって思えてるのが大きいと思いますよ。前はなんか、漫画みたいなことをしたがってたから。

 いろんな年上のプロゴルファーと交流を持つことによって、気付きがあったと思います。それから松山英樹の影響もあるんでしょう。英樹ってもともと、ちゃんと攻める、守るというバランスのいい子なんで、そういうのを見習ったのかな。それがここ最近のゴルフにすごく出てる感じがしますね。

 セガサミーカップには2年連続で僕の長男の奨王(しょうおう=19)も出させていただきました。今年も予選落ちに終わってしまったんですが、一番の問題はショートゲームの技術力のなさですね。150ヤード以内のクオリティーが圧倒的に低い。あれでは話にならないかな、っていうのは感じました。

 長いものに関しては若い力もありますし、距離も出ますので、そこだけを見ると楽しみなことはあるんですよね。距離がまったく出ないんじゃあ、この時代だと少し難しいと思うんですけど、距離はそれこそ日本の中でも飛ぶ方だと思いますんで、ショートゲームの部分を伸ばしていけたらいいなと思います。

 本人はアメリカで生まれ育って、今回みたいに雨が一日中しとしと降る中でプレーするケースも少ないので、天候面での経験不足が悪い結果につながった部分も大きいです。「課題がはっきり出てきたので、そこを重点的に頑張ります」って言ってました。

週刊朝日  2019年9月13日号

著者プロフィールを見る
丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

丸山茂樹の記事一覧はこちら