「3回戦の星稜対智弁和歌山は延長14回タイブレークの激闘。後世に語り継がれる名勝負でした。この試合で投げ合った奥川君と池田君が味方になって対戦相手に立ち向かっていく。ロマンを感じます」

 投手陣では左腕・林優樹(近江・3年)にも注目したい。細身の体で、胸につくほど右足を高く上げる独特のフォームで、腕の振りが直球と変わらないチェンジアップは一級品だ。

 昨夏、2年生投手として臨んだ甲子園で、金足農にサヨナラの2ランスクイズを決められるという劇的な敗戦を経験。春の近畿王者として迎えた今夏の大会は優勝候補にも挙げられたが、初戦の東海大相模戦で、味方の失策も絡み、敗退した。

「去年の自分を超えられなかったという無念を晴らすマウンドを期待したい」(内山氏)

 佐々木氏も同様に林に期待する。

「今夏は不運にも、自身が期待するような結果がついてこなかった。今回、代表に選ばれて意気に感じていると思います。投手陣の中では宮城(大弥、興南・3年)と並んで貴重な左投手。起用法含めて注目したいです」

 大学日本代表との壮行試合では5投手が継投。150キロを超す直球が魅力の本格派、飯塚脩人(習志野・3年)はリリーフが濃厚。夏の甲子園でも、1回戦の沖縄尚学戦で好救援を見せていた。

「直球の球威が素晴らしい。沖縄尚学戦では救援で6者連続三振を奪うなど、途中からのマウンドには慣れています。抑えとして期待できます」(佐々木氏)

 日本代表はオープニングラウンドで米国、チャイニーズ・タイペイ、パナマ、南アフリカ、スペインと対戦。初戦は30日のスペイン戦だ。

 日韓関係の悪化を受けて、日本代表は“日の丸”を外した無地のポロシャツ着用を決めるなどピリピリムード。競技以外のところで騒がしくなっているが、日本の高校球児たちは平常心を保ってプレーできるか。世界を相手に、大舞台での大暴れを期待したい。(本誌・秦正理)

※週刊朝日オンライン限定記事

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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