献花が絶えない京都アニメーションの事件現場(撮影・今西憲之)
献花が絶えない京都アニメーションの事件現場(撮影・今西憲之)

 35人が死亡、35人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件は、18日で発生から1カ月を迎える。お盆も炎天下の中、献花台を訪れる人の列は絶えず、現場となった第1スタジオは悲しみに包まれている。

【写真】青葉真司容疑者

 8月8日には青葉容疑者に対し、殺人と住建造物放火等の容疑に加え、重軽傷を負った35人への殺人未遂容疑も追加された逮捕状が出た。だが、青葉容疑者は今も病院で治療を受けている。

「重篤な状況ではあるが、呼びかけにも反応があるので、落ち着きつつある。だが、とても話を聞けるような回復状況ではない。事情聴取は、あと数カ月、かかりそうだ」(捜査関係者)

 そんな状況ゆえ、青葉容疑者がなぜ、あそこまでの犯行に及んだのか、いまも動機はわからない。本誌は青葉容疑者の凶行の動機を解く“鍵”を握る人物に取材することができた。

「青葉って名前をニュースで見て、どこかで聞いたと思った。ニュースを確認したら、青葉真司ってやっている。あの青葉かと椅子からひっくり返りそうになるほど、驚きました」

 こう語るのは青葉容疑者をよく知る法曹関係者A氏だ。青葉容疑者は2012年6月、茨城県内のコンビニエンスストアで強盗に押し入り、逮捕された。2012年9月13日に強盗、銃砲刀剣所持等取締法違反容疑で、懲役3年6カ月の実刑判決が言い渡され、栃木県内の刑務所で3年ほど服役することとなった。A氏が青葉容疑者と出会ったのは、その時のことだった。

「最初はごく普通の印象でしたよ。『茨城で強盗をやってしまって』『自首はしたのですが』とか事件の動機について話していた。刑務所に来る人間にしては真面目な印象がありました」とA氏は振り返る。

 だが、しばらくして、青葉容疑者の「奇行」を目にするようになる。

 突然、「おぉ!」「うわぁ~」などと大声をあげたり、壁に頭を打ち付けたり、ペンを自分の手に刺そうとしたり、手が付けられない興奮状態になったという。

「刑務所ですから、いろいろな人がいるのですが、青葉容疑者の大声や自傷行為には驚いた。おとなしい感じの人間がなぜ急に変わるのか。刑務官もビックリしていた」(A氏)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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おとなしいのに豹変する瞬間