ただ問題がある。会議でスケジュール調整の話になったときだ。僕がガラケーを出すと、スタッフに二度見されているときがある気がする。「え? ガラケー?」って二度見している。これはあくまでも「気がする」だけだが。でも、多分。アゴに米粒をつけている人を二度見するように、自分のガラケーを二度見している気がするのだ。

 そしてこの半年で一度だけ「ガラケー、使ってるんですね?」と聞かれたことがある。そのときには「スケジュール移すのが面倒でさ」と「わざと感」を出してみたものの、どう思っているか……。そして、僕にそのことを聞いた人に対して、周りの人が「そんなこと聞くなよ。かわいそうだろ」って視線を送っているような気がした。

 ガラケーを使ってて、これほどまでに勝手な「被害者意識」を持っているわけだが、40代でガラケーを持ってるみなさんは、今、どんな気持ちなんだろうな。

 自分がガラケーだったら悲しい。もっと堂々と使ってくれと思っているかもしれない。だから今日もガラケーに申し訳ないという気持ちを持ちながらポケットに入れる。ただ、最後にはっきり言う。ガラケーは便利だ。ガラケー応援プロジェクト、やらせてください。

週刊朝日  2019年8月16日‐23日合併号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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