小川:かなえられてはいますが、企画の取材や特集の取材が多くて、日々のニュースで取材に出ることがまだあまりできていません。でも、選挙が終わったので……。

林:海外の取材も?

小川:海外も必要があれば行きたいと思いますし、海外に限らず、事件や事故のバックグラウンドの取材なども地道にやらせていただけたら、という気持ちがとてもあります。

林:小川さんは帰国子女なんですよね。

小川:でも、2年しか行ってないんです。6歳から8歳までのあいだの2年なので、帰国子女と言えるほどのものじゃないです。

林:そうは言っても、英語はペラペラだと聞いてますし、来年はアメリカの大統領選挙もあるから、ぜひ取材に行っていただきたいですよ。来年はオリンピックもあるし。

小川:来年はけっこう盛りだくさんですよね。それまでにちゃんと足場を固めていけたらいいですけど。

林:もともと報道をやりたかったんでしょう?

小川:小学校の卒業アルバムに「ニュースを読むアナウンサーになりたい」と書いていたようなので、そのときからニュースの現場で働くアナウンサーに憧れていたんだと思います。

林:アナウンスアカデミーに入ったんですか。

小川:はい。大学(青山学院大)1年生のときにTBSのアナウンススクールに通い始めて。

林:TBSだったら、校長先生は吉川美代子さん(元TBSアナウンサー)でしたよね。厳しそう。

小川:いや、吉川先生、とてもやさしかったです。でも、3カ月通ったところで、「君はまだ1年生だし、ここを出ていろいろな世界を見ていろいろな経験をして、それでもアナウンサーになりたいと思ったらまた戻ってきなさい」と言っていただいて、それで一回やめて、大学生活を謳歌することに専念して、3年生のときにまた通い始めました。

林:小川さんもお医者さんを目指したことがあるって聞きましたけど。

小川:一瞬だけ迷いました。父は耳鼻科なんです。耳の中の手術って、顕微鏡を使ったりスコープを使う緻密な作業なんですね。その手術のビデオが家にあって見たら、すごく美しくて芸術のように感じたんです。手術を受けたおじいさんが、聞こえるようになって涙を流しながら喜んでいる映像を見て、一気に感動してしまって、お医者さんっていい仕事だなと一瞬、目指そうと思ったんですね。でも、致命的に数学まわりができず、早々に切り上げました。

週刊朝日  2019年8月2日号より抜粋