西川廣人社長はコメントを発表。ルノーが議決に棄権するのは、委員会メンバーの選任にルノーの意向が反映されていないことがあるようだ。定款変更には議決権ベースで過半数の出席と3分の2以上の賛成が必要になる。議決権ベースで43%を保有するルノー側が出席しても、議決に棄権すると3分の2以上の賛成を得るのは困難だ。

 日産、ルノーとも社内で意思統一が難しくなり「経営の求心力がなくなってきている」とみるのは調査会社カノラマジャパンの宮尾健代表。両社は提携分野で「判断のスピードや質が落ちてきている」と述べ、「足の引っ張り合い」で競争に遅れる懸念もあるという。

 株式市場から日産株を見ると「嫌気される対象で触手しにくい」と話すのは楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジスト。日産株は株価に対する配当利回りが高く、割安の株価水準に放置されているという。企業統治リスクのほか、日産は大株主のルノーやそのバックにいる仏政府の意向もあってか高水準の配当を維持するが、最近の業績がさえないため減配リスクもあるとみる。

 西川社長続投に反対の動きもある。投資家に対して日産株主総会で、ゴーン問題を監督する立場だった西川社長の取締役再任に反対を勧める助言機関もある。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2019年6月28日号