繰り返すが、この出汁ダイエットは、朝、大さじ1杯の特製出汁をカップに入れたら、お湯を150~200ミリリットル注ぎ、1分ほど待ってから飲むだけ。カップの底にたまった粉は残さず食べる。

「特製出汁のスープは、朝だけでなく、おなかが空いたときに飲んでも。粉は料理にも使えます。納豆に混ぜたり、おにぎりにまぶしたり、お茶漬けの出汁にしたり、けっこうおいしいです」(同)

 なお、出汁ダイエットには、味覚リセット以外にも、食欲を抑える、脂肪を燃焼する、お通じをよくする、ストレスを緩和する、といった作用も期待できる。それはそれぞれの出汁の材料に含まれる成分の働きによるものだ。

「例えば、かつおぶしに含まれるヒスチジンは、食欲抑制効果で注目されている成分です。味覚鈍化を防ぐ亜鉛や、幸せホルモンといわれるセロトニンの材料になるトリプトファンも含まれています」(同)

 魚を丸ごと用いる煮干しには、細胞を活性化させるイノシン酸のほか、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)、ビタミンD、タンパク質が、刻み昆布には、うまみをより強めるグルタミン酸や食物繊維のフコイダン、食欲を抑えるレプチンが、緑茶にはリラックス効果をもたらすテアニンが含まれている。

 このように、オリジナル出汁で日々不足しがちなミネラルも補える。味に飽きてきたら七味やゴマなどを入れるなどして、目先を変えると良いそうだ。

 工藤さんは、同院で開設しているダイエット外来の患者30人(22~71歳、男性7人・女性23人、平均体重96.1キロ)にこの出汁ダイエットを2週間、実践してもらったところ、平均で5.3キロ減(6.1~4.7キロ減)。ウエストも平均5.1センチ減った。中性脂肪や悪玉コレステロール、血糖値も改善され、長年の便秘が解消された人もいた。

「当院のダイエット外来に来る患者さんの多くは、お金をかけてダイエットを試み、うまくいかなかった方たち。そういう人たちに成果が表れたことは大きいですね」(同)

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