フィルターの裏側からシャワーをあてて、水圧でホコリを落とす (HITOWAライフパートナー提供)
フィルターの裏側からシャワーをあてて、水圧でホコリを落とす (HITOWAライフパートナー提供)
エアコンの構造 (HITOWAライフパートナー提供)
エアコンの構造 (HITOWAライフパートナー提供)
カビが付着しているルーバー (HITOWAライフパートナー提供)
カビが付着しているルーバー (HITOWAライフパートナー提供)

 ボタン一つ押せばサーッと涼風が広がり、今夏も快適に、と思ったら、「なんだ、このにおい!?」……。本格的な夏目前のこの時期は、エアコン内部のカビに出くわし、健康被害に悩む人が増える。専門家は「エアコンはカビにとって天国。汚れるべくして汚れている」。一体なぜ? 今すぐできる掃除術と、カビが発生する仕組みを見ていこう。

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 5月、NPO法人カビ相談センター(東京都大田区)には、カビによる健康被害の相談が寄せられていた。

「エアコンをつけると体調が悪くなる」

「異常なにおいがする」

 高鳥浩介代表は「体調を崩す要因として、カビなどの菌やホコリを吸い込んでしまい、呼吸器系の疾患、特に気管支や肺を刺激されることが多い」と話す。

 特に多いのが夏型過敏性肺炎だ。千葉大学真菌医学研究センターの亀井克彦教授によると、「トリコスポロンというカビの一種が原因といわれるアレルギー性肺炎で、肺の奥にある肺胞と肺胞の間の間質で起こります。たんは出ませんが、空せきを起こし、熱が出ることが多い」という。

 では、どうやってエアコンのカビのサインを見つけたらいいのか。「おそうじ本舗」を全国展開するHITOWAライフパートナー(東京都港区)の尾崎真・営業企画部部長が言う。

「吹き出し口にカビが付着しているのなら、それはもう末期状態で、中はカビだらけ。カビが最後に到達するのが吹き出し口です」

 ならば、すぐにでもカビ掃除に取り掛からなくては。と、ここで尾崎さんから「待った」がかかる。聞くと、素人ができるエアコン掃除は一部分だけだという。

「プロは全部分解して、水と洗浄剤を合わせて12~15リットル使い、高圧洗浄機を用いて丸洗いします。メーカーや年式によって何百通りもタイプがあって、センサー付きの内部お掃除ロボットだけでもねじ20~30本。熟練のプロでも外すのに1時間、戻すのに1時間かかるエアコンもあるんです」

 それでは、素人でもできるエアコン掃除を見ていこう。初めに、安全のためにエアコンのプラグを抜く。作業中に誰かがリモコンを操作したり、タイマー機能が作動してしまっては危険だ。プラグが見当たらない場合はブレーカーを落とそう。また、高いところでの作業のため、椅子や脚立の上に立つ場合は、必ず補助員をつけること。落ちて大けが、という事態は避けたい。

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