次に、風向きを調節するルーバーの掃除だ。上下のルーバーを手でゆっくりと動かし、スマホのライトを使って、中で羽根のように何枚も並ぶ左右のルーバーを確認。羽根の表裏や隙間に付着したカビを拭き取っていく。

 ここで使うのが、お手製アイテム「お掃除棒」。割り箸にキッチンペーパーを挟みこみ、巻き付けて輪ゴムで留める。ぬるま湯で軽く湿らせてから拭き掃除に使おう。

「指や手をねじ込んでも届かないし、硬いものを使うと本体に傷がつく。割り箸なら機械を壊す心配もなく、キッチンペーパーは汚れたら交換して使えます。洗剤は使いません。拭き取るのが大変です」(尾崎さん)

 続いてフィルター掃除だ。本体カバーを開けたら、掃除機でフィルター表面のホコリを軽く吸い取る。取り外すときに降り落ちるホコリをおさえよう。取り外したフィルターとともに浴室へ。

「フィルターをひっくり返し、裏側からお湯のシャワーを当ててホコリを流しましょう。向きを間違えると逆効果ですのでご注意を。目の中にホコリが残っていたら、歯ブラシに中性洗剤をつけてこすってください。最後に、乾いたタオルでポン、ポンと挟んで水分を拭き取ります」(同)

 油汚れが付着しているときは、水洗いだけでなく洗剤使用が有効だ。中性洗剤を指定するのは、フィルターの樹脂を傷めないため。紫外線が当たり、劣化が進んだフィルターに刺激の強い洗剤を使うと、折れてしまうことがあるという。

 素人が手を出せるのはここまで。尾崎さんによると、新品のエアコンを買っても、丸洗いしなければ1~2年でカビが繁殖し始める。高圧洗浄機を使ったプロの掃除で一度内部をリセットしてから、2週間に1度は、ルーバーとフィルターを掃除してほしいと呼びかける。ちなみに、プロによるクリーニングの相場は1万~2万円程度だ。

 そもそも、エアコン内部のカビはどうやって発生するのか。

 エアコン上部から吸い込んだ室内の空気は、フィルターを通ってホコリや汚れを落とし、室外機から冷たいガスを送り込まれているアルミフィン(熱交換器)を通って冷やされ、筒状の送風ファンの力で冷風として送り出される。

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