看護学科の学生が学ぶ目白聖母キャンパスの校舎
看護学科の学生が学ぶ目白聖母キャンパスの校舎
草柳浩子学科長
草柳浩子学科長

 看板学科の評価が大学のブランド力を示す時代となった。大学の顔である「至高の学科」を訪ねる。最終回は上智大学・看護学科。

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 私大最難関大の一つ、上智大で新たに人気を集めているのが、2011年に新設された看護学科だ。看護の単科大学だった聖母大と合併して誕生した。私大・看護系で最も人気のある学部・学科だ。

 看護といえば、これまで専門学校や短大が人材育成を担ってきたが、4年制の大学で看護学部・学科を新設する動きも出ている。学生にとっても看護師は人命を助けることができるやりがいのある仕事であり、注目度は高い。

 この学科の人気の理由の一つに、幅広い学問が身につく点があるようだ。

 患者に向き合うためには、看護の技術だけでなく、心理学や社会福祉学など幅広い知識を身につけることが看護師には求められている。上智大では総合大としての強みを生かし、他の学部・学科の授業も取ることができるようにしている。

「上智大で“一番過酷な学科”と言われています」

 草柳浩子学科長はそう語る。

「看護の授業に加えて、幅広く授業を履修できるようにしているため、夜遅くまで図書館で自習をしている学生も珍しくない。視野が広くなり、自己研鑽する力が身につく、と学生からの評価は高いです」

 英語などの外国語や国際看護学が学べる点も人気の理由だ。発展途上国で苦しんでいる人の手助けをしたいという学生が多くなっているためだ。

 学科には英語での交渉やプレゼンなど実践的なスキルを学ぶ授業が用意されている。その他にも他学部などで開講される英語による専門科目の講義なども受講でき、留学制度も充実。

 4年次には国際看護学コースを選ぶことができる。国際感染症学、国際保健看護学、国際協力方法論など途上国の看護で必要な知識を学ぶ。フィリピンやモンゴルなど途上国への海外実習もある。病院や高齢者施設、孤児院を訪れ、途上国の現状や医療の違いなどを学ぶ機会がある。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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