そうした様子を見守ってきた前学科長の塚本尚子教授は話す。

「現場を目の当たりにし、知識や技術がないと何もできないことを知り、改めて学ぶ意欲を高める機会になっている」

 学科では自分で考える力も重視している。近年は医療の現場が施設から在宅へと変わりつつあるなど、求められる対応も変化している。今後もいまの知識が使えるとは限らない。技術演習では、正解をすぐに与えない。どんな看護が適切か自分で批判的に考え、自身の看護観を身につけさせていく方針だ。

 就職にも強い。ゼミで教員が面接対策などの就職指導を行うほか、キャリアセンターでも看護学科向けの対策を行う。

 東京医科歯科大医学部付属病院や国立がん研究センター中央病院といった先端医療に取り組む病院にも毎年、就職している。

 ここ数年、航空会社にキャビンアテンダントとして就職する学生もいる。この点について、草柳学科長は語る。

「緊急時に対応できる看護資格だけでなく、英語力と現場で鍛えたコミュニケーション力の高さが評価されているようです」

 時代の進展に伴い、看護師に求められる能力は高まっている。これからの社会を支える新たな看護師が上智大から生まれている。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2019年5月31日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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