亡くなってから約1年たつ野崎幸助さん
亡くなってから約1年たつ野崎幸助さん

 生前、記者に、「美女とエッチするのが生きがい」と語っていた紀州のドン・ファンこと、和歌山県の資産家、野崎幸助さん(享年77)。急性覚せい剤中毒で昨年5月24日に謎の死を遂げてから約1年たつ。いまだに真相は解明されていない。

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 死亡当日に家にいたのは55歳年下の新妻と、家政婦の竹田純代さん(67)。竹田さんは野崎さんとは20年以上の付き合いがあり、身の回りの世話をしていた。

 謎の死はテレビのワイドショーなどで取り上げられ、新妻と家政婦が共謀して殺害したのではないかといった疑惑の目を向けられたという。竹田さんは本誌の取材にこう振り返る。

「警察ではポリグラフ検査にかけられました。『あなたが殺したんでしょう』という質問を10回くらい繰り返され、そのたびに『いいえ』と答えました。最後には頭に来て、『殺してなんかいない、やめてよ』と言ってしまいました。次は髪の毛を抜かれて調べられましたが、何も出てきませんでした」

 野崎さんの和歌山県田辺市の自宅は家宅捜索され、大勢のマスコミが押しかけた。そんな騒ぎの渦中、竹田さんはテレビクルーを野崎さんの自宅に入れている。

「社長(野崎さん)の会社の人からは、一言もしゃべるなと言われていた。私も社員と同じように、マスコミから逃げていたんです。でも毎日、立ちっぱなしで『お願いします』と言うマスコミの人の姿を見ていたら、気の毒になってきた。何もしてないのに、なんで逃げなきゃいけないのかという思いもありました」
 
 テレビクルーに対し、竹田さんは2階の引き出しを開けながら、「覚せい剤がいつもここにあった」と証言した。どういう意図があったのか。

「警察が家宅捜索した時に、捜査員たちの方から『ちょこっと引き出しに残っていた』という会話が聞こえてきたの。それでテレビクルーにそう言っただけなんです」

 2階で遺体を発見したのは新妻と竹田さん。

「私が数時間外出して帰ってきたら、妻は1階のお風呂から上がったばかりでした。2階は社長のお風呂、1階は妻と私のお風呂でした。それから妻と2人でテレビを見ていたら、上から『ドーン、ドーン』と物音が聞こえてきました。『社長、なんか怒っているから、上に行ったほうがいいんじゃない』と妻に言ったんです。それで、妻が2階へ上がったらすぐに戻って来て、『社長がなんかおかしいの』と言う。私が急いで上に上がったら、体がカチカチになっていて、仰天しました。もうどうしていいかわからず、すぐに会社の社員に電話しました。ソファからずり落ちて足が床にあたった音が聞こえたのではないかと思います」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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ドン・ファンが新妻に求めたのは愛情