男子高校生がボマーとしての薫陶を受けたとされる元大学生は、愛知県警捜査関係者によると「筋金入りの実験マニア」だという。 

 元大学生は今年3月に、爆発物罰則取締法違反の罪で名古屋地裁から懲役3年以上5年以下の不定期の実刑判決を受けている。主な起訴内容を見てみるとまさに危険な事案のオンパレードだ。

■2016年12月22日ごろ、当時の名古屋市名東区の自宅で爆薬TATP(過酸化アセトン)を製造

■2018年3月19日、同区の公園でTATPを所持し、黒色火薬を燃焼させたとする爆発物取締罰則違反と火薬類取締法違反の罪

■2017年2月10日ごろ、当時の自宅で爆薬ETN(四硝酸エリスリトール)を製造した火薬類取締法違反の罪

■2017年9月ごろ、当時の自宅で3Dプリンターを使って拳銃1丁を製造したとする武器等製造法違反の罪

■2018年8月19日ごろ、引っ越し後の同市緑区の自宅で覚醒剤を製造したとする覚せい剤取締法違反の罪

 捜査関係者によると、元大学生は爆薬や覚醒剤の原材料となる市販薬を薬局やネットで購入していた。ツイッターには「TATPより威力のある爆薬をいろいろつくった」と投稿。当局の追跡をかわす「トーア」など複数の匿名化ソフトを使い、違法薬物や銃器などが売買される「ダークウェブ」と呼ばれるネット空間上でのサイトも閲覧していた。

 元大学生も男子高校生も、過激な思想背景などはなく化学への好奇心が誤った方向に進み、歯止めが利かなくなった可能性が高い。しかし、テロ組織はこうした若い世代を狙っていると警視庁公安部OBは警告する。

「組織はテロリスト予備軍を常に探し続けている。社会経験も少なく、思想にも影響を受けやすい学生などからリクルートすることが多い。ウェブサイトに簡単な爆弾製造法などを記載している組織も存在する。何が治安の脅威になるのか、警察としても、これまで以上に見極めるセンスが問われている」

(本誌 羽富宏文)

※週刊朝日オンライン限定記事