16歳の高校生ボマーを火薬類取締法違反で書類送検した警視庁(c)朝日新聞社
16歳の高校生ボマーを火薬類取締法違反で書類送検した警視庁(c)朝日新聞社

 爆薬製造にのめりこんだ少年が次に手を伸ばしたのは、核燃料物質の製造だった。

【“指南”した大学生ボマーが作成したとされる映像のスクリーンショットはこちら】

 爆薬のETN(四硝酸エリスリトール)を製造したなどとして、4月8日に警視庁公安部が火薬類取締法違反で書類送検した東京都内の男子高校生(16)が、インターネットオークションでウランを売買、さらに自ら製造していた疑いがあることがわかった。

 男子高校生が製造したETNは殺傷能力が高い爆薬とされており、警視庁公安部が行った起爆実験では、金属製の容器が破裂するほどの威力だったという。高校生は昨年8月19日から20日にかけて、自宅でETN、約2.4グラムを製造したとしてされている。

 捜査関係者によると、昨年1月、インターネットのオークションサイトに「ウラン99・9%」などとうたった物質が出品されているのを原子力規制庁が発見し、警視庁に通報したのが発端だった。

 警視庁では出品者や購入者数人を特定、その物質を押収した。購入者の1人が男子高校生だったという。物質は鑑定の結果、核燃料物質のウランと判明。

 警視庁は昨夏、男子高校生の自宅を捜索し、ウランを精製する過程で抽出される粉末「イエローケーキ」を押収。別に入手していたウラン鉱石から自分で精製したものとみられ、ネットオークションに出品して少なくとも3人に販売していたほか、周囲の高校生にも渡していた疑いがあるという。

 男子高校生は自身のSNS上でイエローケーキについて「海外のオークションサイトで落札したウラン鉱石に簡単な化学処理をして抽出した」などと紹介していた。

 原子炉等規制法では、許可を受けた事業者以外がウランなどの核燃料物質を譲り渡すことを禁止している。

 ウランは核兵器の原料にもなる放射性物質で、核燃料などに利用するためには天然鉱物であるウランを濃縮する必要がある。そして天然ウラン濃縮の過程で精製したものは「イエローケーキ」、濃縮されたものの残りが「劣化ウラン」と呼ばれている。

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危険すぎるウランを手に入れた動機は?