村上春樹に気づかされ…「海辺のカフカ」演じる木場勝己が告白 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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村上春樹に気づかされ…「海辺のカフカ」演じる木場勝己が告白

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菊地陽子週刊朝日
木場勝己(きば・かつみ)/1949年生まれ。東京都出身。幅広い舞台で活躍し、読売演劇大賞最優秀男優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞など、数々の賞を受賞。2018年は、ドラマ「anone」「アンナチュラル」、WOWOWの「コールドケース2」にも出演 (撮影/写真部・加藤夏子)

木場勝己(きば・かつみ)/1949年生まれ。東京都出身。幅広い舞台で活躍し、読売演劇大賞最優秀男優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞など、数々の賞を受賞。2018年は、ドラマ「anone」「アンナチュラル」、WOWOWの「コールドケース2」にも出演 (撮影/写真部・加藤夏子)

「これ読んで」と、蜷川幸雄さんから手渡された本。タイトルには「海辺のカフカ」とあった。木場勝己さん当時のことをこう振り返る。

「今から8年か9年前のことです。小説を一気に読んで、次に蜷川さんに会ったとき、『ナカタさんですか?』と聞くと、『その通り』と。『それ、やります』と言いました。稽古に入る前、僕はナカタさんのことを、もう少しおとなしい、静かな人をイメージしていました。でも、稽古の途中、透明なワゴンの中でエピソードが展開されるとわかって、無邪気さや明るさを意図的に強くするようにした。ワゴンが動くことで、舞台には余計にエネルギーが加わるのに、ナカタさんが静かすぎると、そのエネルギーに対抗できないと思ったのです」

 舞台「海辺のカフカ」の初演は2012年。「世界で最もタフな15歳になる」と心に誓って家を出た少年と、猫と会話ができる不思議な老人ナカタさんが、導かれるように四国を目指す。重なるはずのない時間、出会うはずのない人々が織りなすたくさんのエピソードを、アクリルケースの中で可視化させる演出は大変な評判を呼び、3年後にはロンドン、ニューヨーク、シンガポール、ソウルを回るワールドツアーも開催された。今年2月のパリ公演では、千秋楽に原作者の村上春樹さんがトークイベントに出演したという。

「村上さんが、何度か、『僕は、物語を作っている』と話されていたのを聞いて、僕はあることに気づきました。俳優は、物語の筋を知っています。でも、演じる役は、どこかに現れ、移動して、誰かと会ったりするけれど、その先どうなるかはわからないでいるのです。何かの啓示やキーワードをいただいて、心の中にドラマが生まれ、次の行動に移る。その軌跡が“物語”になっていくだけ。俳優にとって大切なのは、“物語”以上に、“ドラマ”なのです」

 ドラマが生まれるためには、自分の心の玄関を常に開けておかねばならないと、木場さんは語る。


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