施設も充実している。成田シミュレーションセンターは約5300平方メートルという規模を誇る。今年2月、同センターで行われた1年生の呼吸器の授業を見学した。

 約35人ずつ四つのグループに分かれ、肺機能検査、身体診察、肺音シミュレーター、人工呼吸器の教室を順番にまわった。各教室の教員が英語で説明したあと、白衣を着た学生が自分の肺機能を調べたり、人工呼吸器を取り付けたりする実習を経験した。

 海外で働きたいと考えている吉田結美子さんはこの授業について語る。「心臓や呼吸の音を実際に聞くと想像と違っていたり、シミュレーターの身体診察から問題を考えることが難しかったりと、座学ではわからないことを学べました」

 授業の最後に大教室に集まり、4人の教員が作成した英語の問題がプロジェクターに映し出された。学生が手元のボタンを押すと、どの選択肢を何人が選んだかが瞬時にわかり、直後に正解が発表された。

「臨床能力はもちろん、高い倫理観と使命感を持った医師を育成するために、1年次から『医療プロフェッショナリズム』の授業も行っています。医療安全、患者と医師の関係などの事例をもとに議論を重ね、学生は少しずつ成熟しています」と吉田教授は言う。

 今後、外国人の旅行者や労働者の増加がさらに見込まれているため、「英語で診療できる」と国内で働くときにも強みになりそうだ。(庄村敦子)

週刊朝日  2019年4月19日号