北川氏と藤田氏がほぼ互角の数字が出たのだ。先の自民党幹部はこううなだれる。

「大阪12区は、亡くなった北川知克氏の父親が長らく強固な地盤を築いてきた。その弔い合戦で必勝を期して、北川家から後継を出した。それが世論調査でこんな拮抗した数字が出るとは思ってもみなかった。7月の参院選を前に官邸は統一地方選よりも、衆院補欠選さえ1勝1敗に持ち込めれば、いいという考え方だ。安倍首相も沖縄3区が厳しい情勢は理解しており、『大阪12区だけは絶対に勝ってほしい』と話している。宮本氏と樽床氏も出馬するので、大阪府知事、市長選のような維新VS反維新という構図にはならず、余計に大変な選挙になる。国政の補欠選挙で2連敗となれば参院選も危うくなる」

 大阪クロス選挙では自民党は安倍首相も、人気者、小泉進次郎氏も大阪入りすることはなかった。

「大阪ダブル選挙では、安倍首相や進次郎氏が入らなくても勝てると、甘くみていたようだ。それがこの惨敗でしょう。大阪12区は、なりふり構わず勝ちにいくしかない」(日本維新の会所属の議員)

参院選を前に不穏な空気となっているようだ。
(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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