京都大学の時計台 (c)朝日新聞社
京都大学の時計台 (c)朝日新聞社

 平成最後の京大の合格発表が3月10日に行われた。平成の30年間で各進学校の合格者数も変化してきた。京大の高校ランキングを見ると、私立の中高一貫校が上位を占める東大とは異なり、公立校の強さが光る。背景にあるのは、都立と同じく、公立校の教育改革だろう。

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 大阪府では11年に難関国公立大学を目指す進学指導特色校を指定。北野や天王寺などが選ばれた。さらに、14年度には学区制を廃止して、府内全域から優秀な生徒が集まるようにした。

 その結果、北野は10年に44人だった京大合格者が徐々に増加し、昨年は84人の合格者を出し、洛南を抜いてトップに躍り出た。天王寺も10年の31人から18年には63人と倍増させている。

 京都市でも教育改革が進んでいる。99年に堀川には専門学科「探究科」が設置され、京都府内全域から優秀な学生が集まるようになった。02年に6人が合格。10年後の12年には60人を超える合格者を出すに至っている。

 同市では西京も03年に改革を実施し、翌04年には中高一貫校となる。06年に2人の京大合格者を出したのを皮切りに、17年には34人にまで実績を伸ばしている。

 私立の新興勢力として勢いがあるのは、大阪桐蔭(大阪)だ。甲子園大会で優勝するなどスポーツの強豪校としてのイメージが強いが、同校は体育や芸術に力を入れるコースと難関大学への進学を目指すコースとに分かれている。進路指導部の古庄誠主事は「野球部やラグビー部の全国優勝などを見て、勉強する生徒たちも刺激を受けている」という。

 同校は83年、大阪産業大高大東校舎として開校。当時は「関関同立」を進学目標にしていたが、男女共学化した91年に「国公立」、中学校を設立した95年には「東大・京大・医学部」と目標を高めてきた。93年の京大合格者は1人だったが、07年に30人、09年41人、12年50人、13年64人と増加させた。

「『東大・京大は狙えないところじゃない』と高い目標を持たせるところから始めました。先輩が京大に合格する姿を見て、目指す人数、受験する人数、合格する人数と、徐々に増えていきました」(古庄主事)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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