ジャーナリストの田原総一朗氏は、トランプ大統領が窮地に追い込まれていると指摘する。
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1月20日で、トランプ大統領は就任から3年目に入ったが、このところトランプ氏は苦境に立たされている。連邦予算をめぐって民主党と対立し、下院では民主党が多数派なので、成立のめどが立たないのだ。
暫定的措置期限を迎えた12月21日に予算が成立しなかったので、翌22日から政府機関が一部閉鎖された。公務員たちは出勤できず、給料ももらえなくなってしまったのである。
民主党と対立しているのは、トランプ氏がメキシコ国境に壁をつくることにこだわり、その費用を予算案に盛り込もうとしているためである。
政府機関の閉鎖は35日間にも及んだ。これは史上最長である。上院で共和党議員6人が造反し、1月25日についにトランプ氏が折れて、壁建設費を含まない3週間の暫定予算案に署名した。だが、政府機関が開いているのは2月15日までで、本予算が成立する見通しは立っていない。
CNNの調査では、壁にこだわるトランプ大統領に、反対が56%で、賛成は39%しかいないのだが、トランプ氏の本当の支持者たちは、壁に賛成なのである。だから、苦境に立っていても、トランプ支持は40%前後を維持しているのだ。
いざとなれば、彼は国家非常事態宣言を覚悟している、とも見られている。トランプ大統領が苦境に立たされているもう一つの要因はロシア疑惑。2016年のアメリカ大統領選でトランプ候補を勝たせるためにロシアが不正に関与したとされるものだ。疑惑の捜査を行っているモラー特別検察官は1月末までに37の個人と団体を起訴し、近いうちに捜査報告書が提出される見通しであると、司法省幹部が明らかにしている。
疑惑が真実ならば、民主党が下院の過半数を獲得した今、トランプ大統領の弾劾手続きを始められることになるのだが、民主党は、それを敢行するつもりなのか。弾劾すれば、当然ながらトランプ大統領は辞めざるを得なくなり、民主党にとっては大チャンスとなるはずだ。