例えば職場の人間関係を楽しくするのもやり方の一つ。僕は文科省時代、両隣にいる同年代の同僚とオヤジギャグを連発しながら仕事していた時期がありました。オヤジが3人並んで、受けないギャグを言い合ってたなあ。周囲から見れば寒い光景ですが、僕らはあまり鬱憤が溜まることもなく、結構楽しく仕事できましたよ。要は心の持ちようということです。

 あなたは自分の煩悩を客観視している時点で、うまく煩悩と距離を置いていると思います。まあ煩悩が煩悩であるうちは、そんなに悩まなくてもいいんじゃないかなあ。妄想の中で楽しむのもアリだと思いますよ。「ステキな人とデートしたい」というのも、対象を決めて、夢の中に出てくるように念じるとかね。キムタクとデートする夢を見られるように、寝る前にキムタク出演のDVDを気持ちを込めて見るとか……。

 そうそう、おっしゃるように、そろそろ体の不調が出てくるお年頃ですよね。私も毎年どこかが悪くなって、少しずついうことをきかなくなっています。昔は階段は2段ずつ上がっていたんだけれど、今は1段ずつでもゼーゼー息切れするし。だけど人間は老いるものだし、過去の若さに執着せず、身体の変化をあるがままに受け止めたらいい。お互い、過去にとらわれず、今を生きましょうよ。

週刊朝日  2019年2月15日号

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前川喜平

前川喜平

1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う。

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