橋下:それが政治批評が一番やっちゃいけない逃げですよ。政治批評が政治を導かないといけない。

田原:この人ダメだ。人の話を聞かない。安倍さんは15年に集団的自衛権を限定的に認める安全保障関連法(安保法)を成立させた。16年の参院選で改憲勢力で3分の2を取り、17年秋の衆院選でも3分の2を取った。僕が「いよいよ念願の憲法改正ですね」と尋ねたら、安倍さんは「大きな声で言えないけど、米国は安保法に満足しているから、改憲の必要はなくなった」と言った。橋下さんはどうすべきだと思っているの?

橋下:最終的には憲法9条の改正によって軍を持つことだと思っています。だから日本の環境をどう整備して日本が軍を持てるようにするのか、そのプロセスを提示しなければならないと思っています。田原さんは9条改正には反対ですよね。

田原:いや、そうでもない。去年末、自民党の憲法改正責任者の下村(博文)さんに会って、憲法改正なんてできっこないだろうと言ったの。自民党のほとんどの議員は改憲から逃げているもの。

橋下:メディアの政治批評がきちんとできていないから国民がついてきていないと思います。

田原:あんたはすぐメディアが悪いって言う。

橋下:違います。政治とメディアは両輪で、両方に責任があると言っているじゃないですか。

田原:(机を強くたたいて)下村さんには「僕は護憲論者じゃない。改憲はすべきだと思っている。やるならきちんと基本からやるべきだ」と話している。

橋下:特定の政治家に言うんじゃなくて国民に向けて話さないとだめですよ。

田原:僕はテレビでも言っているよ。

橋下:でも、憲法9条改正の話は「怖い」と多くの国民は思っている。沖縄の問題も、解決しようと思えば、憲法9条がネックです。沖縄問題は、日本が自国の安全についてアメリカにべったり依存していることが解決困難の本質ですよ。独立国家としてやるべきことをやらないと、アメリカにもきちんとモノを申せない。

田原:橋下さんは辺野古移設絶対賛成かと思ったら、橋下さんの提案はそうじゃないね。

橋下:沖縄が政府と政治的な喧嘩をすればいい。でも今のままでは沖縄は勝てない。沖縄の重要性は、政治家を含めた日本人、中国までもがみんなわかっている。そうであれば自分たちの立場を高く売ったらいいじゃないですか。

田原:テレビで沖縄問題をやっても、どんどん視聴率が下がる。国民的な関心が低く、本音は沖縄に押し付ければいいと思っている。

次のページ