柔道・飯田健太郎 「世界一」を目指す裏側に見せた熱いハート

週刊朝日

仲間とのきずなが大事だという飯田選手 (撮影/... (17:00)週刊朝日

仲間とのきずなが大事だという飯田選手 (撮影/... (17:00)週刊朝日
 たとえ世界で2番目に強くても、選手にとって満足はできない――。柔道では日本代表になるための熾烈な戦いが展開されている。

 とりわけ混戦なのが、男子100キログラム級。共に主要世界大会で優勝経験のある飯田健太郎(20、国士舘大学)とウルフ・アロン(22、了徳寺学園職員)が競っている。

【写真】飯田選手の今年の抱負とは

 先に「世界」を制したのは、年下の飯田の方だ。まだ高校生だった2017年に、五輪、世界選手権に次ぐ重みを持つグランドスラムパリの100キログラム級で優勝! その名は一躍内外にとどろき、東京五輪の金メダル候補に挙げられるように。同時に本人も日の丸を強く意識するようになった。

「日本代表なら優勝するしかない。2位も一回戦負けも一緒だと感じるようになりました」

 だが国士舘大学進学後、けがなどもあり、低迷する。

 その間にウルフが頭角を現した。17年の世界選手権で優勝したのだ。

「代表争いの一番手をウルフさんが走っています。僕はどんどん追い上げていかないといけない状況です」

 と冷静に分析する飯田も、手をこまねいているわけではない。

「鈴木先生(鈴木桂治国士舘大学監督)もオリンピックで負けて辛い思いをしたそうです。その時の話をしていただいたことで、ずいぶんと助かりました」

 飯田はウルフが出場しなかった昨年のアジア大会で優勝し猛追中。両者は今年19年、ヨーロッパで行われるグランドスラム、全日本選抜などを経て、8月の世界選手権に臨む。

「追う立場の自分の方が、精神的には楽なんじゃないですかね。できればウルフさんを追い越した形で、世界選手権に出場したい。そこでウルフさんを倒せれば一番いいですね」

 投げ技が好きで「ビデオで自分が投げたところを見るのが好きなんです。醍醐味ですよね」と笑うが、投げにこだわり過ぎると世界一になるのは難しくなる。

「外国人選手は、徹底的に技をかけさせないスタイルで来ます。それに対応する技術の大切さは、井上先生(井上康生日本代表監督)から試合のたびに言われています。オリンピックまでにはきちんと対応できるようにしたい」

 色紙に今年の抱負を書いて欲しいと頼むと、すかさず「世界一」と記した。だが他に、今年来年の目標として大学の団体戦での優勝にこだわっている。

「柔道部の仲間とよくカラオケに行くんです。『今日は絶対柔道の話はしないぞ』と酒を飲んでおいしいものを食べるんです。でも、必ず誰かが『団体戦、優勝したいな』とつぶやく。結局みんな、柔道の話をしちゃうんですよ」

 個人でだけでなく、仲間とともに勝ちたいという“熱いハート”も強みだ。(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2019年1月18日号

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