その後も、葉子さんが公演中に熱狂的なファンに刃物で刺されたり、がんで闘病したりした。多額の借金を抱えたこともあり、「苦難」の連続だった。でもいまではこうした経験も、明るく振り返ることができるという。

「長生きしたらね、しただけのおもしろみはあります。ケ・セラ・セラじゃないけどね、気楽にやってたほうが、パッと神様から手を差し伸べられることもあるんじゃないかな」(葉子)

 09年には、ドキュメンタリー映画「こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」が公開され、話題を集めた。近年はバラエティー番組での奔放なトークが、若い世代にもウケている。

「トークが受けて、私たちに興味を持ってくださる若い方が増えたんです。若い歌手やバンドが出るイベントに呼ばれることもあります。今の時代に合った生き方、見せ方があるんですよね」(栄子)

「地方の公演の時なんかに、駅で高校生のファンが待っててくれたことも。ステージで私たちが経験したことや健康に関することを話すと、若い人も含めみんな喜んでくれるの。“女きみまろ”と呼ばれることもあるんですよ(笑)」(葉子)

 姉は妹を、「いつもしっかりしてて頼もしい存在」、妹は姉を、「どんなときでも見守ってくれる優しい存在」と語る。

 60周年は、さほど意識しないつもりだという。

「あまりね、節目を意識したりお祝いしたりするとよくないっていいますからね(笑)」(栄子)

「たんたんとしながらも、記念すべき年。体だけは大事にして、いろんなところに呼んでもらえたらうれしいですね」(葉子)

“ひばり”に憧れた“こまどり”は、60周年を超えて羽ばたいていく。(本誌・太田サトル)

※週刊朝日オンライン限定記事