注目度は高かったが低調なSB株(c)朝日新聞社
注目度は高かったが低調なSB株(c)朝日新聞社

 新規公開株が低調なソフトバンクグループ(SBG)の子会社で携帯電話大手のソフトバンク(SB)。事前の売り出し価格は1株あたり1500円だったが、東京証券取引所1部に上場した19日の終値は1282円だった。

 経済評論家の山崎元さんは、証券マンに同情する。

「1500円を決めたのはおそらく野村証券なのでしょうが、売り切るのは相当に大変だったはず。しかも、やっと売り切ったと思ったら、早速客に損をさせてしまった。年末の災いみたいなもんですよね」

 反対にほくそ笑んでいるのはSBGの孫正義会長兼社長かもしれない。売り出し価格より下回ったとはいえ、約2兆6千億円を調達できた。

 そもそもなぜ、SB株は滑り出しからつまずいたのか。山崎さんはこう話す。

「孫会長は、ヤフーを早くから買ったり、アリババを育てたりと、投資もできる人。その人が『これはもう売っていい』と言ったようなものなので、投資家がBS株を敬遠するのは自然です」

 情報通信業界に詳しいコンサルタントのクロサカタツヤさんは、逆風の中での上場だったと指摘する。

「通信事業者は見通しが明るくない。理由は国内人口が減っているから。通信サービスは、国ごとに免許や規制があり、海外展開が難しい。さらに、総務省による『通信料金4割値下げ圧力』も大きい。人口も減って料金も下がれば、お先真っ暗。中でも影響を受けるのが、加入者がドコモ、auより少ないSBです」

 加えて、悪材料と指摘されているのが、6日に発生した大規模な通信障害だ。実際、上場後の会見で、SBの宮内謙社長は契約件数が通信障害後に1万件以上減少したことを明らかにした。

 ファーウェイ問題も絡んでいる。5G回線の共同開発などでファーウェイと関係を深めていたSB。基地局などで使用している製品を置き換える費用が発生するという懸念が広がったとみられている。

 上場会見でSBの宮川潤一副社長は、電波障害やファーウェイ問題に絡み、“マルチベンダー化”を名言。障害発生の原因となったエリクソン製の機器に他社製を追加するとし、ファーウェイとの協業についても見直すとした。

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