土砂の積み込み作業が再開された桟橋の入り口。反対する市民を前に厳重な警備が敷かれた(c)朝日新聞社
土砂の積み込み作業が再開された桟橋の入り口。反対する市民を前に厳重な警備が敷かれた(c)朝日新聞社

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けて、政府は埋め立て工事の土砂投入を12月14日に始める意向だ。

 当初は名護市の西側に隣接する本部町の港から土砂を搬出する予定だったが、9月の台風で多くの岸壁が損壊した。使える岸壁も他の業者でいっぱいの状態で、本部町から使用が認められなかった。

 このため、民間企業である琉球セメントの桟橋を利用するという“裏技”に走った。名護市安和(あわ)にある同社の敷地に、大型トラックが続々と土砂を運び入れている。

 しかし、「桟橋はセメントの出荷や材料を搬入するために県から許可されたものです。目的外利用と言われても仕方ない」(沖縄経済界関係者)と疑問視する声が上がる。

 そればかりか、今は反対派市民らの抗議を受けて撤去されたというが、桟橋の入り口付近には「カミソリ刃付き鉄条網」まで張り巡らせて警備していたというから尋常ではない。沖縄の反発は高まるばかりだ。

 土砂の運搬船は東シナ海側の桟橋を出ると、沖縄本島の北側を回り込む形で、太平洋側の辺野古へと向かう。だが、搬出作業を始めた6日、市民らがカヌー10艇ほどで船を取り囲み、およそ3時間余り立ち往生させた。

 桟橋の入り口で座り込みをする北谷町の村上有慶さんがこう語る。

「辺野古の海では進入制限区域が指定され、抗議する人たちに海保(海上保安官)たちはゴムボートで体当たりしてきたり、カヌーを転覆させたりしてきますが、桟橋の沖合は立ち入り禁止などの制限は何もありませんからね。海保も遠巻きにして『離れて下さい』と言うだけで、手を出せませんでした」

 痺れを切らした海保らは「危険だから」という理由で反対派市民らを強引に排除、拘束した。その後、4隻の土砂運搬船が辺野古海域へ向かった。

 政府がここまでなりふり構わず工事を急ぐのは、来年2月24日に辺野古埋立ての賛否を問う県民投票が実施されるからだ。それまでに埋め立てを進めて、既成事実化する腹積もりなのだろう。

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