会見で質問に答える羽生結弦。笑顔から自信があふれる (c)朝日新聞社
会見で質問に答える羽生結弦。笑顔から自信があふれる (c)朝日新聞社

 絶対王者・羽生は今シーズンも君臨か。誰もがそう思わずにいられなかった。フィギュアスケート男子で、オリンピック(五輪)を2連覇した羽生結弦(23)は11月4日、グランプリ(GP)シリーズ第3戦フィンランド大会で見事に優勝を果たした。

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 SP、フリーともに今季世界最高点。一方で、次なる目標として公言していた世界初のクワッドアクセル(4回転半)を封印した。

「やっぱり試合で勝たないと意味がない。クワッドアクセルをあきらめた時点で、自分の中でスイッチを入れた。だったら、クリーンなプログラムを絶対にしろよって、プレッシャーをかけて練習をしてきた」

 と試合後に語った羽生。勝負師として勝利にこだわった結果だった。

 クワッドアクセルを封印しても、プログラムの完成度は高かった。フリーでは世界で初めての「クワッドトーループ(4回転)+トリプルアクセル(3回転半)」のジャンプを成功させた。元フィギュアスケート選手の渡部絵美さんは感嘆する。

「ジャンプの回転が本当にきれいでした。着氷でバランスが崩れるんじゃないかというところで踏ん張ったところも良かった。普通の選手だったらバランスが崩れるところなのに、さすがです」

 ノーミスの演技について、現地で取材したスポーツライターの折山淑美さんはこう推し量る。

「のびのびとやるべきことをやろうとしてると感じました。(五輪が終わり)目標を一つ達成したということで、追い詰められるものもないので、気持ちに余裕があったと思います」

 また、羽生は今季、ジョニー・ウィアーやエフゲニー・プルシェンコという自身が憧れていたスケーターたちが使用した曲を用いる。それによって、羽生は五輪2連覇を成し遂げてもなおモチベーションが高い状態を保っていると折山さんはみている。

「ずっと憧れた選手の曲を使っているので、それに恥じない演技をしたいというのがあるのでしょう。ノーミスで演技して勝つことが、彼らに対するリスペクトだと思っているはずです」

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