醸造酒、蒸留酒、混成酒… わかりづらいお酒の定義を「感染症屋」が考えてみた (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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醸造酒、蒸留酒、混成酒… わかりづらいお酒の定義を「感染症屋」が考えてみた

連載「ワインは毒か、それとも薬か」

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岩田健太郎週刊朝日

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。専門は感染症など。

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。専門は感染症など。

フランスなどでは、ワインはブドウを原料とした醸造酒だと定義されている。では、日本は?

フランスなどでは、ワインはブドウを原料とした醸造酒だと定義されている。では、日本は?

 感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説する。 

*  *  *
 日本では酒類を「15度においてアルコール分1度以上(薄めて1度以上の飲料とできるもの、または溶解して1度以上の飲料とできる粉末状のものも含む)の飲料」と酒税法で定義している。

 そしてワインは、果実を原料とした「醸造酒」に分類されるのが通例だ。なぜ「通例だ」などという回りくどい言い方をしたのか。

 実は日本には、ワインの明確な定義がない。

 最近は酒類を管轄する国税庁が、日本のワインを「日本ワイン」と定義したのでだいぶましにはなってきてはいる。それでもぼくが知る限り、国内での明確な「ワインの定義」は存在しない。(国税庁による「日本ワイン」の定義は国産ブドウのみを原料とし、国内で製造された果実酒だけを指す)

 定義はないものの、一般的にワインは「ブドウ果実を原料として醸造した酒類」を指す。これに対してワイン大国のフランスなどでは、きちんと法的に「ワインの定義」を定めている。

■日本酒以外、国の名前を冠した酒は聞いたことがない

 余談だが、酒税法上は「日本酒」も存在しない。私たちが「日本酒」と呼んでいるものは、実は、法律上の正式用語では「清酒」となる。
 
 そういえば……酒類で国の名前を冠したものは、日本酒くらいではなかろうか。アメリカ酒とか、フランス酒というのは聞いたことがない。日本で造っている日本酒。日本酒の存在感は大きい。
 
 最近は海外でも日本酒は大人気だ。国外で製造されるようにもなった。英語圏では「Sake(サキー、「サ」にアクセント)」と呼ばれている。
日本において「酒」はアルコール飲料の一般呼称だ。だから「お酒くださーい」と頼むと、日本酒のことになるのかな。この件は、複数の概念が混在しているが、仕方がない。言葉とはそういうものだ。「ごはん」がコメのことを指すこともあれば、食事のことを指すこともあるのだから。
 


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