役者としての欲がないせいか、2~3年前には、「もういつ辞めてもいいや」と思っていたのだとか。

「子供たちも家庭を持って、孫に“じいじ”と呼ばれる毎日が訪れたことで、一息ついちゃったんですね。でも役者を辞めたら、僕みたいにだらしない人間はぐずぐずになると思った。毎晩酒を飲んで、雀荘に入り浸って、たばこふかして夜更かしして、これは早死にするな、と(苦笑)。僕が今、身体が動く限り役者を続けていこうと思う理由は、長生きしたいからです(笑)。もう一つは褒められたいから。舞台の劇評を読むのが好きで、悪いことを書かれていたらすぐ忘れますが、褒められていたら何回も繰り返し読んで記事の内容を全部覚えちゃう(笑)。今回も、たぶんみんな褒めてくれるだろうと、それだけが楽しみです」

(取材・文/菊地陽子)

※週刊朝日2018年10月12日号