視野欠損は事故につながりかねない(写真はイメージ) (c)朝日新聞社
視野欠損は事故につながりかねない(写真はイメージ) (c)朝日新聞社
視野検査を受けたことがあるか? ファイザー「緑内障に関するドライバー1万人調査」から (週刊朝日2018年10月5日号から)
視野検査を受けたことがあるか? ファイザー「緑内障に関するドライバー1万人調査」から (週刊朝日2018年10月5日号から)

 白内障や網膜剥離などと並んで、“目の5大病”ともいえる緑内障。何らかの理由で眼圧が上がることで視神経に傷が付き、視野が徐々に欠けていく病気だ。

【調査結果】視野検査を受けたことありますか?

 40歳以上の20人に1人が罹患していると推定されているが、自覚症状がないため放置しがち。だが、進行すると「危険な運転につながる恐れがある」と専門家は警鐘を鳴らす。

「高齢者の危険な運転というと、どうしても認知機能の低下が原因と思われがちですが、実は“視野の問題”も大きいのです」

 こう話すのは、たじみ岩瀬眼科(岐阜県多治見市)院長の岩瀬愛子さんだ。

 緑内障と運転の関係については、製薬会社のファイザーが全国の40歳以上のドライバー1万人を対象にアンケートを実施。その結果、「自分が緑内障である可能性がある」と答えたのは、たったの1%。緑内障の発見につながる「視野検査を受けたことがない」と答えたのが約6割だった。

「統計上は今回の調査に参加した人の中にも500人あまりの緑内障患者がいると推定されますが、無自覚である潜在患者が多く含まれることが示唆されました」(ファイザー・広報)

 この問題については、国も注視。「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」では、運転リスクの一つに視野障害を挙げ、安全運転との関係について調査、研究を始めている。

 では、緑内障で視野が欠けると、運転にどんな影響が及ぶのだろうか。岩瀬さんはこう解説する。

「例えば、両眼で見ても左上の視野が欠ければ信号を見落としやすく、とくに近くで青から赤に変わったときに気付きにくい。左半分であれば歩行者の動きや止まっている車に気付くのが遅れます」

 逆に右半分が見えなければ対向車の情報を得にくいことになり、いずれにしても、大事故につながる可能性がある。

「一般的には、緑内障で視野が欠けても、顔や目を動かせばカバーすることができる。危険性を自覚せずに運転している可能性があります」(岩瀬さん)

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