「長年にわたって日本をリードしてきたからだと考えられます。京都は千年以上にわたり日本の都でした。大阪は戦前までわが国最大の経済都市で、阪大の前身となった適塾もありました。大阪の薬問屋の町・道修町には、今も製薬企業が集まっていて、製薬会社との共同研究に力を入れる医学部もあります」(上医師)

 大阪に2校舎を持つ医学部専門予備校「進学塾ビッグバン」の松原好之代表は、関西の医学部人気には、関西人の気質も関係があるといいます。

「関西人は昔から実学を重んじるため、医学部に対する人気が変わらず根強いのです」
 
 また、駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は、こう解説します。

「2012年にピークを迎えた医学部人気も、現在は沈静化を見せています。関西でも、多くの公立高校は、医学部志望の生徒が減少しました。しかし、私立の中高一貫校では医学部の人気が続いており、なかでもトップクラスの進学校は、例年の国公立大医学部合格者数でトップテンに入る常連校となっています」

■コストをかけても私立の中高一貫校に進学する家庭も

 大阪府は14年に府立高校の学区制を廃止し、進学指導特色校を設置しました。この結果、成績上位層が、おもに北野と天王寺に集まるようになりました。

「大阪で医学部を目指す場合は、府立のトップ校に進学してコストを抑える家庭と、コストをかけても私立の中高一貫校に進学する家庭とに二分されるようです」(松原代表)

「国公立大医学部合格者数トップ30にランクインした関西の高校」の表では、10校すべてが私立の中高一貫校です。上位5校は、全国のトップテンに入ります。さらに、四天王寺(大阪)と洛南(京都)は、私立大のトップテンにも入りました。
 
 卒業生数は300人以上の高校もあれば、200人以下の高校もあります。合格者数だけではなく、卒業生数にも注目しましょう。
 
 中高一貫校は学習進度が速く、高2までには高校のカリキュラムをほぼ終わらせます。高3の1年間を問題演習などの受験対策にあてられるため、難関の医学部入試では、中高一貫校が圧倒的に強いのです。
 

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国公立大医学部に強い高校は?