お金の流れは、可視化しないとわからないことも多い。それぞれが見せられる分、きちんと開示し合って話すと良いでしょう」(黒田さん)

 ただし、親しき仲にも礼儀ありで、きょうだいとはいえ、互いへの配慮は不可欠だ。例えば、明らかな収入の差がある場合、収入の多いほうが、「出せないだろ?」と、低いほうが分担しない前提で話すのはNG。まずは「分担ってどう思う?」などと、相手を傷つけないように意向を探ってみる。その上で、「大変だったら無理しなくていいよ」と気遣う言葉をかける。

 お互いの家計事情までさらけ出すには抵抗がある場合、生活ぶりを知るには、定期的にきょうだい間で家を行き来し合うと良い。一般に経済指標となるのは、職業や家、子どもの有無や通う学校、車など。「冷蔵庫の中身や、部屋の散らかり具合も、意外な指標になります」と黒田さん。

「家計が苦しくなると、食費から削る人が多いので、冷蔵庫を見るのは一つの手。さらに散らかっている家の住人は、家計管理がきちんとできていないことが多く、収入が多くても、出ていくお金も多い傾向です」

 親の介護におけるトラブルで多いのは、きょうだいの中に、無関心で何もしてくれない人がいることだという。だが、自分の親への接し方は、将来自分に返ってくるものだ。

「子どもは、親の介護の様子を、冷静に見ているものですよ」(黒田さん)

 今の親と自分との関係性は、将来の自分と子どもとの関係性と思うべし。きょうだい間で争う姿まで生き写しにならないように、手を打っておきたい。(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2018年9月28日号より抜粋

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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