くどいようだが、ほうれい線の予防法や隠し方をめぐる効果は人それぞれ。試してみて効果がなくてもすぐには諦めず、適切な方法を模索し続けるしかない。

 前出の出口さんの母親(75)は、毎日欠かさず風呂上がりにシートマスクをしたところ、しわが目立たなくなったという。美は一日にしてならずなのだ。

 最後に、NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長の塩谷信幸医師の言葉を紹介したい。

「ほうれい線が気になる年齢になると、あごがたるみ、首に縦じわが生じているケースが多い。無防備になりがちな首にも美容液を塗るなどのケアをしつつ、顔の緊張をほぐすこと。大事なのはこの二つ。しかめっ面ではなく、いつもスマイル。表情を柔らかく、顔から全身の緊張をほぐしていきましょう。年齢をあまり気にせず、『今日の私は一番若い!』と前向きに。長く続けられる美容法を地道に続けることが、遠回りのようで一番有効です」

 年を重ね、顔がたるんでも、上を向いて歩いていれば、気持ちも上がる。あごをほんの少し上げるだけで、ほうれい線は薄く見える。これなら、誰でも今すぐできる。

 まもなく乾燥の季節が訪れる。矢野さんは言う。

「入浴後は、パンツをはくより先に顔の保湿を!」

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2018年9月28日号より抜粋