西川:反対に女性だったらできることがあって、例えばシミは男の人にとってはどうでもいいことですけど、皮膚科の女の先生だったら、わかってあげてやさしい言葉がけができたりする。そこは区別をしないといけないと思いますね。

林:ところが、今は女性のほうが優秀で、試験をすれば女性が上位を占める……。

西川:そうです。学校としてはちゃんと卒業して国家試験に受かってもらいたいから、優秀な子を採りたいんだけど、そうなると女の子ばっかりになっちゃって、科として困ったり、いろいろ難しいことがあるんだろうなと思いますね。

林:それが現実だけど、女子が差別されるのを決していいと思っているわけではない、とおっしゃったわけですよね、西川さんは。

西川:私は聖マリアンナなんですけど、聖マリに入ったとき外科は「女人禁制」と言われていて、いろんな科の説明会に行っても、「女子は外科に来なくていい」と言われて、入れてもらえなかったんです。男所帯なので更衣室もなくて、医局でみんな裸になってオペ着に着替える。長時間の手術になれば、トイレに行けないこともあるから、おしめや生理用のナプキンでしのぐ。そういう環境なんですよ。女の子は、ちょっとやっていけないですよね。

林:この問題、どうしたらいいんですかね。東京女子医大のように男子医大なんて許されないんですか。

西川:そうしたらいいんじゃないかと私は思います。東京女子医大があるんだったら、東京男子医大があってもいいですよね。しかも「外科に行きたい人の大学」とかね。ふつう、外科には行きたくないですから。

林:そうですか。私、お医者さんの花形は外科だと思ってました。

西川:花形は外科です、完全に。私だって憧れですよ。でも、外科は訴訟がいちばん多いんですね。何かあったときにすぐ「裁判だ」ってなるから、外科には行きたくないんです。内科も内視鏡とかのミスで破裂しちゃって訴訟になることがあるんですが、眼科、皮膚科、耳鼻科あたりは訴訟が少ないから行きたがる。

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