安倍氏は「同じ腕の振りで、球速が5キロ、10キロと違う球を投げられる。あれはプロでもなかなかできない技術」と吉田に舌を巻くが、大阪桐蔭と対戦した決勝戦に、不安を覚える。

「僅差に持ち込めればプロでもと思ったが、打ち込まれた。ボールの角度でしのげないのが唯一の弱点。あの姿がプロ入り後、体調不良で投げた姿かもしれません」(同)

 吉田は八戸学院大(青森)の正村公弘監督に指導を受け、投手として飛躍的な成長を遂げたとされ、同大への進学も噂(うわさ)される。安倍氏によると、正村監督は学生球界でも数少ない投手を育てられる指導者で、「速球と同じ腕の振りで変化球を投げられる『本物の緩急』を身につけるのも彼の将来にとって大きなプラスになる」(同)。

 吉田はPL学園当時の桑田真澄と比較されるが、安倍氏は「桑田投手は3年間、甲子園のトッププレーヤーであり続けた。吉田投手は、秋田では昨年から目立った存在だったが、今年だけ。『真夏の夜の夢』と考えたほうが現実的」と慎重だ。プロ志望届の締め切りまで約1カ月。果たして吉田はどんな答えを出すのか。(本誌・緒方 麦)

週刊朝日  2018年9月14日号