著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回はフリーアナウンサー・生島ヒロシさんの「青山 たか野」の「蒸し鮑」だ。
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ここは何年か前に知人に紹介されてから行きつけになりました。地下へ続く階段を下りるとわずか10席の和の空間が広がっていて、実に居心地がいい。本当はあまり紹介したくない店なのですが……(笑)。
料理は作り手の人柄をあらわすと言いますが、一品一品にご主人の優しさがこめられています。コース料理ですが、量も調節してもらいながら、旬のおいしいものを自分で選べるのがありがたい。家庭の味が恋しい独身の方にもおすすめですよ。
この三陸産の蒸し鮑(あわび)を食べた時は驚きましたね。僕は宮城県気仙沼出身ですが、地元でこんな贅沢なものを口にしたことはありません。さすが“貝の王者”と呼ばれるだけに特有の甘みがあって。だしを含んだやわらかな鮑に、ご主人の丁寧な仕事ぶりがうかがえます。
東日本大震災から7年が経ちました。三陸は日本が誇る魚介の宝庫。地元の復興を願うとともに、漁師さんへの感謝の気持ちを忘れずに、海の恵みをいただきたいと思っています。
(取材・文/今中るみこ)
「青山 たか野」東京都港区南青山5-12-6 英ビルB1F/営業時間:17:30~22:00L.O./定休日:日祝
※週刊朝日 2018年7月20日号