一方の森友問題では、共産党が財務省と国土交通省のやり取りを記録した内部文書を暴露。昭恵夫人付政府職員だった谷査恵子氏が15年11月、国有地の賃料引き下げの優遇措置を受けられないかを財務省理財局に問い合わせた案件だ。「近畿財務局からの情報提供」と題して、当日のうちに国交省大阪航空局と情報が共有され、昭恵氏が名誉校長に就任したことも明記されている。

 また別の文書には、財務省が決裁文書の改ざん問題で調査報告書の提出時期を、検察の捜査が終結するタイミングを見計らっていたことも記されている。

〈調査報告書をいつ出すかは、刑事処分がいつになるかに依存している。官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている〉

 元東京地検検事の郷原信郎氏が指摘する。

「文書が事実とすれば、最初から不起訴ありきで官邸も財務省も安心しきっている様子が浮かぶ。起訴が困難なことは予想されていたとはいえ、事前に刑事処分の結果が伝わっていたことになり非常に問題です」

 会計検査院の調査どころか、司法にも介入した安倍政権の“独裁”ぶりは、白日の下にさらされるのか。(本誌・亀井洋志/今西憲之)

週刊朝日 2018年7月6日号

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今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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