ケガで去就が注目される大谷翔平(c)朝日新聞社
ケガで去就が注目される大谷翔平(c)朝日新聞社

 エンゼルスの大谷翔平投手(23)が右肘を故障(内側側副靱帯損傷)……衝撃的なニュースが流れてから10日余り。日本ハム時代に取材した記者は「“二刀流”に求められるものが大きく変わって本人も力が入り、オーバーワークだったのでは?」と言う。

「日ハム時代は、ケガをさせたくない、ということで、打者としてはホームランだけを求められてました。極端に言うと栗山(英樹)監督は、3回バット振って帰って来い、という感じで大谷を打席に送り出してたんです。それで4打席に1本のホームランが出ればいい、という感じでね」(同前)

 ヒットで塁に出れば走塁でケガをするリスクがあるからで、日ハムは大谷に、内野ゴロで本気で走るな、と指導していたという。

「だけどメジャーはファンも日本と違い、見る目が厳しい。いつも160キロ投げることを期待されてるし、ホームランだけでなく全力疾走、全力プレーが求められる」(同前)

 米スポーツサイト「ジ・アスレチック」の6月11日付の記事によると、大谷は、スピードボールの最速と平均の球速差が全投手の平均より小さい、という。

「それだけ大谷は、全力で投げていた、ということなんです」(ベテラン記者)

 エンゼルスが7日(日本時間8日)に大谷の右肘にPRP注射(保存療法)を受けさせ、翌日故障者リスト(DL)入りさせて3週間以内に再検査して治療方針を決める、と報じたとき、多くのメディアは、靱帯再建手術を受ける可能性もある、と論じた。しかし、その後、エンゼルスのエプラーGMは手術の可能性を否定。ソーシア監督は先に打者として復帰させる青写真を示した。それで本当に大丈夫なのだろうか?

「ESPNなど、アメリカの名立たるメディアが手術必至と伝えたのが大勢になっていて、エンゼルス側はその打ち消しに必死、という感じです。3週間以内に再検査してから、と言ってたのに、そのすぐあとに手術の可能性を否定するってことは、手術はしない、という答えありき?と不信感が湧いてきますよね」

 こう語る前出ベテラン記者によると、3月と4月に大谷が先発登板したエンゼルスのホーム2試合の平均観客数は4万4782人で、ほぼ満員だった。

「もともと左の長距離砲がいないチームだから戦力的にも必要だし、これだけの動員力があるわけですから、使えるものなら使いたい、というのがエンゼルスの本音でしょう」(同前)

 エンゼルスは“天使”じゃない!?(黒田朔)

週刊朝日 2018年6月29日号