インタビューに応じる志位和夫委員長(撮影/写真部・片山菜緒子)
インタビューに応じる志位和夫委員長(撮影/写真部・片山菜緒子)

 自宅近辺を散歩中に転倒し、右足のくるぶしを骨折した共産党の志位和夫委員長。車椅子での移動を余儀なくされる日々だが、国会での安倍政権の横暴に対する怒り、来年の参院選でのリベンジを激白した。

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──森友・加計問題への疑惑が深まっています。

「安倍首相、政府・与党には、疑惑に真剣に向き合う姿勢がひとかけらも見られません。森友公文書の問題では、改ざん前の文書を18日までに公表するとの約束を反故にして23日までずるずる引き延ばす。加計疑惑についても、柳瀬唯夫元首相秘書官の国会での答弁──『3年前に加計学園関係者と官邸で3回会ったが、安倍首相に報告もしなければ指示もない』との答弁はおよそありえない話であるうえ、愛媛県の中村(時広)知事から反論され、またたくまに根底から覆されました。にもかかわらず与党は中村知事の国会招致を頑なに拒否しつづけています。安倍首相は『膿を出し切る』と言ったが、やっていることは許しがたい疑惑隠しです」

──国会で平然とウソの答弁をするなど、霞が関の官僚たちの劣化が深刻です。

「防衛省による南スーダンとイラクの日報隠蔽も、財務省次官のセクハラ発言も真相は闇の中です。くわえて深刻なのは、防衛省統合幕僚監部の3佐の暴言問題です。国民の代表者である国会議員に対し、政治的に中立であるべき自衛官が罵詈雑言を浴びせた。1938年に陸軍中佐が帝国議会で『黙れ』と怒鳴った事件が想起されます。ところが、防衛省は3佐を懲戒ではなく極めて軽い訓戒処分で済ませた。政府全体が文民統制からの逸脱という重大問題を軽く考えていることをさらけだしました。恐ろしいことです」

──内閣支持率は下がらず、野党の支持も上がりません。

「野党が安倍政権に代わるしっかりとした旗印を打ち立てられるかどうか。すべてはここにかかっています。2015年9月19日、安保法制=戦争法が成立した日に、私たちは市民と野党の共闘で政治を変えようというよびかけを行いました。共闘の『一丁目一番地』としたのは、憲法違反の安保法制を廃止して、立憲主義と民主主義を取り戻すということです。この旗印を中心に、暮らしと経済、原発、外交などで、自民党政治に代わる新しい政治の旗印をどれだけ豊かに打ち立てることができるかどうか。野党間で真剣な政策対話が必要です」

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