協会の試算によると、管理や清掃を担う現場従業員は約8万7千人。全体の半数は65~70歳で、8割超は61歳以上となる。マンション管理は、シニア世代に支えられているのが実情だ。

 かつては50代の早期退職者が管理員として採用され、65歳まで働くことが一般的だった。今や65歳は定年でなく、採用時の年齢層になった。70歳を超えて働く人も増えている。

 協会調査部の笹島光広さんは、管理員不足の要因として近年の好景気についても触れる。
「どの業界も労働力が不足しており、シニア層を積極的に活用しています。シニア層にとっては仕事の選択の幅が広がりました。マンション管理の仕事は、相対的に魅力が薄れているのではないでしょうか」

■広がる採用難 直近3年で加速

 採用が難しくなった時期として、調査に回答した企業の4割が「1年超2年以内」、3割が「2年超3年以内」と答えた。全体の8割の企業は、直近3年で採用が難しくなったと認識していることになる。

「団塊世代が75歳以上となる『2025年問題』が近づくにつれ、事態はさらに深刻化すると考えられます。さすがに75歳を超えてできる仕事ではないし、70歳でも相当体力のある方でないときついと思います」(笹島さん)

 管理員室に座っていて、何となくラクそうと思われやすい仕事。しかし、現実はそうではないようだ。

 マンションの規模や管理組合との契約で業務内容は異なるが、管理員室の席を温める暇もないほど忙しいことも珍しくない。こうした仕事のハードさも、人手不足に拍車をかけている。

「管理業務は、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)の激務です。その割に待遇が良くないし、給与も上がっていない。割に合わないからやめる人が多く、離職率も高い傾向です」(さくら事務所の土屋さん)

 朝、ゴミ収集に間に合うようにマンションに出勤し、ゴミ置き場のゴミを収集車が来る場所へと運ぶ。分別されていないゴミは、管理員が改めて分別する。回収が終わると、ゴミ置き場の清掃。その後、共用部分の清掃や設備などの巡回点検をする。高層マンションだと、階段を上り下りし、すべての階を清掃・巡回することも珍しくない。この仕事に就くと、何キロもやせるという人が多いという。(森田悦子)

週刊朝日  2018年4月27日号

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