「洗脳につながりかねない」現役教員が危惧する道徳の教科化 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「洗脳につながりかねない」現役教員が危惧する道徳の教科化

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道徳教科書の審議会場には、採択候補の教科書が並ぶ (c)朝日新聞社

道徳教科書の審議会場には、採択候補の教科書が並ぶ (c)朝日新聞社

 教科として4月から組み込まれ、成績がつけられるようになった道徳。これまでは教員の個々の裁量で行われ、ほとんどは副読本を形だけ読ませるか、NHKの教育番組を見せてお茶を濁してきた。

 しかし、教科化された以上、教員には教科書の使用義務が課せられる。子どもの内面に介入せず、多様な意見を生かす授業の実践として、現役の小学校教員で『「特別の教科 道徳」ってなんだ?』の著者の一人、宮澤弘道氏は教材を最後まで読まない“中断読み”を推奨する。やはり定番の教材で、小学5年の教科書に採用された「手品師」の話を例示する。

 腕はいいものの、あまり売れない手品師がいた。生活は楽ではなく、いつか大劇場のステージに立てる日を夢見て腕を磨いていた。ある日、しょんぼりと道に座り込んでいる男の子に出会う。声を掛けると、父親が亡くなり、母親が働きに出て家を留守にしているという。手品を披露してやると明るさを取り戻した男の子に、手品師は明日も手品を見せると約束する。その晩、手品師のもとに友人から電話がかかってくる。大劇場のマジックショーに出演している手品師が急病で倒れ、明日のステージに立つ代わりを探しているという。念願の大劇場に立つチャンスだが、明日は男の子と約束がある。〈手品師はまよいにまよっていました〉というところで中断し、子どもたちに「手品師はどのような行動を取るべきだと思うか?」と問いかけた。

「大半の子が『手品師が男の子をステージに招待すればよい』という最も合理的な意見を述べました。『貧乏から抜け出せるんだから、迷わずステージを取るべきだ』とか『男の子のお母さんと手品師が再婚すればよい』などと自分の生活環境をバックボーンにした多様な意見が出た」(宮澤氏)

 しかし、さらに教材を読み進めていくと、手品師は男の子との約束を守るため友人の誘いを断る。〈よく日、小さな町のかたすみでたったひとりのお客さまを前にして、あまり売れない手品師が、つぎつぎとすばらしい手品を演じていました〉という結末まで読むと、子どもたちの意見が一変する。


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