今作でもカイジュウとイェーガーが激しい戦いを展開する。最終決戦地は東京だ。

「東京は日本のアイコン的な街。そこが壊されるなんて、なかなか素晴らしいじゃないですか。アクションとしても面白いし。カイジュウ映画では、東京を壊す伝統があります。それに対するオマージュでもあり、自分もその伝統のひとつになれたということは嬉しいですよ」

 スコットの日本愛、カイジュウ愛のコメントは立て板に水のごとく滑らかで尽きない。あっという間に取材時間が経過していったが、最後にどうしても聞かないといけないことがあった。

 彼はクリント・イーストウッドの子供なのだ。

 ただし父と母は籍は入れなかった。彼のエージェントが父親について触れられるのを嫌がっていると伝えられ、日本のメディアは忖度を働かせたのか、どの社も質問していないという。

 スコットは06年のデビュー後、端役での出演を続けた。建設現場やバーで働きながらオーディションを受け続け、ようやく超大作で主要人物を演じるまでになった。その間、かなりの苦悩があったに違いない。

 忖度知らずの週刊誌記者である私は「偉大な親を超える」ことについて尋ねてみた。スコットは言葉を選ぶように慎重に語り始めた。

「人は誰しも、どうやって自分の親を乗り越えて自分の道を切り拓いていくかを考えます。それは生きていくうえでのテーマです。僕の場合、父は成功を収めています。この仕事を始めてもう10年以上になります。僕にとって長い道のりでした。でも父から日常的にインスピレーションをもらうことができました。映画に携わっている家族のもとに生まれた幸運、いかに自分が恵まれているかを感じながら、進んでいるということです」

 淡々と語ったスコットは、「アリガトウ」と締めた。

 その後、彼は帰り支度を始めた私を呼び寄せた。何をするかと思えば、自分のスマホで2ショットを撮影したのだ。しかも部屋を出た私が廊下にいる間に、その写真をインスタにアップ。機嫌を悪くするどころかむしろ逆だったようだ。(本誌 菊地武顕)

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